• 出来事 日, 12月 1, 2013

    最初に「模倣犯」は映画を観てしまっていたので、原作を読む気にならずに時間が経ちました。けれど、宮部みゆきという作家さんは大好きなので、ある時図書館で「模倣犯」を見かけたので一気に読むことにしました。

    映画の印象しかなかった私は長編だと思っていなかったのですが、原作は長編でした。もの凄く長かった。長かったけれど一度も飽きること無く読み終わりました。この作品があの映画になったとは。開いた口がふさがらないとはまさにこの時のことです。あの映画、原作者の方が観てどう思ったのか心配にすらなりました。

    模倣犯の原作はとても奥が深かった。様々な人が生きている。日常にいきなり事件が投げ込まれるような感覚。家族は理由もなく殺される。そんな事件にまさか巻き込まれるなんて。理不尽極まりないけれど、それを受け入れてなんとか対応しなければいけない。豆腐屋さんのおじいさんは孫を殺され、娘はその事実に気がおかしくなり道路に飛び出して事故にあい植物状態。そんな中で繰り返される模倣犯の挑発。

    事件の内容というよりも、私は人間の弱さをこの作品から感じ、また強さも感じました。犯人たち(二人)の幼稚さ。けれどその二人を子供の頃から知る友人(と呼んで良いのか苦しみますが)の切ない思い。そして被害者遺族の豆腐屋のおじいさんの強さ。記者の女性の人生。すべての絡み合いが素晴らしかった。そして最後に閉店した豆腐屋に訪れる母と子。二人は閉店した豆腐屋の前で、風に揺れる張り紙を見ながら「美味しいお豆腐屋さんだったのに」と言う。この母は事件の事はもちろん知っていた。この一言がたまらない。こんな事件に巻き込まれなければ、この豆腐屋はまだここで豆腐を売っている。美味しい豆腐を売っている。けれどもうそのお店は空っぽになってしまった。

    この作品に登場する人間は犯人ですら深く人間臭さを感じることが出来る。強さと弱さ。相反する矛盾する内面を抱えて生きている人間臭さ。またゆっくりこの作品に向き合いたいと思います。

    Posted by admin @ 9:46 PM for 出来事 |

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